看護師として働いている方の中には、「もっと効率良くお金を貯めたい」と思っている人もいます。
そんな時におすすめなのが、看護師の夜勤専従の仕事です。
看護師の夜勤の仕事は、一回に長時間働くことができる分時給が高いため、短期間でお金を貯めたいと思っている看護師さんにとても人気があります。
このように人気の夜勤専従ですが、「実際に働いてみないとわからない、細かいこと」「働く前に知っておくべきルールや税金」があります。
今回は、夜勤専従に興味がある看護師さんに向けて、「私が夜勤専従で働いてわかったこと、知っておくべきこと」について書いてみたいと思います。
Contents
看護師の夜勤専従ってなに?
まずは、夜勤専従という働き方について少し説明します。
夜勤を専門に働く看護師であれば、常勤、非常勤、バイトなど、どのような雇用形態であっても夜勤専従と呼ばれます。夜勤1回の勤務時間は、2交代勤務で約16時間、3交代で約8時間程度が一般的です。
2交代、3交代のどちらも、夜勤専従としての仕事の求人はありますが、その割合では2交代夜勤が9割を占めています。
常勤の看護師に規定されている「看護師の夜勤の72時間ルール」は、夜勤専従には当てはまりません。2006年の診療報酬の改定の時に、夜勤専従看護師の月の上限労働時間は144時間となっていたのですが、これも2012年に撤廃されました。
その為、夜勤専従の勤務では、自分の可能な限りで勤務し、収入を得ることができ、収入UPにつながるのです。
看護師の夜勤72時間ルールとは?
医療行為の対価として、病院に国から支払われるお金を「診療報酬」と言います。この診療報酬の評価の対象に、2006年より看護職員の夜勤時間が含まれています。
目的は、看護師を過酷な勤務から守り、医療の質を守ることです。
看護師の夜勤に関する診療報酬は、「入院基本料を算定する全病棟の看護職員の、月平均夜勤時間数が72時間以下となる必要がある」という内容になっています。これをもって、72時間ルールと呼ばれているのです。
看護師の夜勤専従って、看護師何年目からできる?
夜勤専従として働く時、「どのくらいの経験があれば可能なのか」が気になる方もいるでしょう。
就業先にもよりますが、経験年数の定めはありません。
しかし、夜勤専従は、スタッフの数が少ない時間帯に働くことになるため、何かあっても頼れる人がいません。なので、「何かあったときにも、自分で判断ができる」「基本的な処置ならばできる」ということが必要とされます。
ただし、夜勤専従として働く場所の中には、医療技術をそれほど必要としない場所(高齢者施設など)もあります。
夜勤専従の業務内容や、求められるスキルについては、事前の情報収集の時にしっかりと聞き、自分に向いているのか判断しましょう。
看護師の夜勤専従の仕事内容は?
看護師の夜勤専従では、どのような業務をするのでしょうか?
これについては、就業先の職場の夜勤業務に沿って行うのが基本です。夜勤専従だからといって、業務が変わることはありません。
私が勤務した、療養型病棟の夜勤専従の主な業務は「患者様の観察、夜間の処置、内服管理、記録、翌日の準備、緊急時の対応」です。
業務内容としては、正社員として働いていた時の夜勤とほとんど変わらないのですが、個人的に一つ変わったことがあります。
それは、情報収集の時間です。
正社員として働いていた頃の勤務前の情報収集は、30分程度で終えていたのですが、夜勤専従として勤務する時は、毎回1時間近くかけて情報を取るようになりました。なぜならば、私の夜勤専従としての勤務は5〜7回/月なので、勤務の間隔があき、患者様の状況の変化を把握するのに時間がいるからです。
看護師の夜勤専従の給与
「収入UPにつながりやすい夜勤専従の仕事」ですが、実際の給与はいくらなのでしょうか?
夜勤専従の給与に関しては、看護協会でも「夜勤専従勤務を導入するときのポイント」として、「相応の報酬の支給」を掲げています。しかし、明確な規定はなく、地域や職場によって大きく差があります。
看護師の夜勤の給与
夜勤専従に関わらず、給与には地域差があります。なぜなら、地域の物価に左右されるからです。
私の住んでいる「福岡」は、都道府県別の看護師の初任給月額(看護3年課程卒)で見たときに、47都道府県中28位です。(2012年 病院勤務の看護職賃金に関する調査9pより)
実際に、ある求人サイトで広告を出している、「看護師の夜勤のバイト」で調べても、東京23区の2交代夜勤のバイトの給与平均は¥32,372/回だったのに比べ、福岡の2交代夜勤のバイトの給与は¥22,856/回と約1万円近くの差がありました。
また、2交代制夜勤専従のバイトの給与を、同じ都道府県内で比較すると、このような差があることもわかりました。
東京都内夜勤専従バイトの給与
最も低い求人→¥15,000/回
最も高い求人→¥45,000/回
福岡県内夜勤専従バイトの給与
最も低い求人→¥8,000/回
最も高い求人→¥32,500/回
(ある看護師の求人サイトで検索 H30 2月時点)
以上の結果から、「同じ都道府県内でも、夜勤専従の給与には差があること」「検索次第では、給与水準が高くない地域でも、給与水準の高い地域に匹敵する給与で働けること」がわかります。
なので、夜勤専従のバイトを探すときは、「広く・正確に情報を集めて、比較・判断する」ことが大切になります。
夜勤専従の希望に沿った案件の探し方2つのポイント
夜勤のバイトを考え始めた時点で、看護師の仲介エージェントに2~3箇所登録する
先に述べたように、夜勤専従の仕事は、検索次第で働く条件に大きな差が生じます。また、エージェントによって持っている案件は違ってきます。
なので、間口を広く設置するために、複数エージェントに登録しておくのは大切な条件となります。
こうすることで、希望に沿った案件がでた時に、エージェントの担当者が優先して紹介をしてくれます。
ちなみに、私は3つのエージェントに登録しました。
一度に登録しすぎると、エージェントへの対応が大変になるので、2〜3個がおすすめです。
エージェントの担当者に、希望条件を伝えておく
エージェントに登録すれば、担当者から希望をヒアリングされるので、それに答えれば大丈夫です。加えて、私が思う「伝えるべき大事なポイント」を挙げます。
・最低限、月に何回入れるのかを、自分に無理のない範囲で伝えましょう
・通勤費が出る所、出ない所あります。必要ならば伝えましょう
・夜勤専従に不安がある場合は、看護師2人以上の夜勤体制の職場を希望しましょう
夜勤専従の給与、実際の手取りは?
サイトの求人で見る、夜勤のバイトの給与は一回で数万円と、とてもよく見えるのですが、「本当の手取りは、控除されるものが多いのでは? 」 と思う方もいるでしょう。
では、実際に「何に、いくらくらい引かれて、手取りがいくらくらいになるのか」の例をお見せします。
これは、以前私が働いていた夜勤専従の給与明細です。
こちらの契約は、¥25,000/回の16時間2交代制の夜勤です。職場の社会保険には入っていなかったので、引かれるのは主に雇用保険料と所得税になります。もしも、夜勤専従先で、社会保険加入条件を満たしており、職場の社会保険に加入するならば、さらに健康保険料と厚生年金が引かれます。
また、福利厚生で通勤手当などの支給がある場合もあるので、就業先を選ぶときの要素の一つにするのもいいですね。
忘れないで!夜勤専従で高額給与をもらうとついてくるアレ!
夜勤専従を希望する看護師さんの中には、目標や目的を持ってお金を貯めておられる方が多く、「1年間だけ、夜勤専従でお金を貯めて、来年は目標に向かって羽ばたく! 」と考えている方もいます。
このような方に、忘れていると大きな打撃となる事柄があります。
それは、「住民税」です。
住民税の金額は「前年度の総収入額」に対して計算されます。
なので、夜勤専従で収入を上げると、翌年の住民税が高くなるのです。
急激な収入upのときは、翌年の「住民税」のことを、忘れないようにしましょう。
看護師がダブルワークで夜勤のバイトをするときの4つのポイント
収入をUPするために、正社員として働きながら夜勤専従として働く「ダブルワーク」を希望される人もいるでしょう。そのような方が、注意すべき4つのポイントがあります。
⑴正社員で働いている職場の職務規定をチェックする。
⑵バイト先の職場にもダブルワークであることは説明し、勤務希望や勤務回数などに柔軟に対応してくれる職場を選ぶ。
⑶バイト先の環境を選ぶ。
⑷すでに外部の夜勤専従を受け入れている職場を選ぶ。
では、以下に詳しくみていきます。
正社員で働いている職場の職務規定をチェックする
職場によっては、ダブルワークを禁止しているところもあります。就業規則を破ると、減給や解雇の可能性もある為、事前にチェックしましょう。
バイト先の職場にもダブルワークであることは説明し、勤務希望や勤務回数などに柔軟に対応してくれる職場を選ぶ
バイト開始後に、「月に○回入ると決めていたけど、実際にやってみると体力的にキツイ」というような状況になったとき、「勤務回数の変更などにも柔軟に対応してくれる」職場なら安心して働けます。
バイト先の環境を選ぶ
バイト先が、入院施設のある病院などの場合、患者の入れ替わりが激しいと、情報収集や処置など「新しく把握すること」が多くなり、毎回の夜勤が負担となります。また、夜間入院や救急を受け入れている場合は、休憩時間を取れないことも多くなります。
ダブルワークには、「患者の入れ替わりが少ない」又は、「看護師2人以上の勤務で休憩がしっかりとれる体制がある」などの安定した職場が向いているでしょう。
すでに外部の夜勤専従を受け入れている職場を選ぶ
すでに外部の夜勤専従を受け入れている職場ならば、受け入れる側としても業務整理を行い、外部の看護師が入ってもスムーズに働けるような工夫がされているはずです。
バイトといっても、行う仕事は看護師という専門性のある仕事です。ダブルワークをするにしても、体力的にも、業務的にも無理のないようにコントロールし、自分と患者様を守りましょう。
バイトがバレたくない人への注意点
ダブルワークで夜勤専従をしている人の中には、「正社員として働いている職場には、バイトのことはバレたくない」という人もいます。
では、バイトをしていることはどのようにバレるのでしょう。
理由としては2つあります。
- 住民税でバレる
- 同僚に見られ、または同僚の繋がりでバレる
では、1つずつ説明していきます。
1.住民税でバレる
まずは、住民税について説明します。
住民税とは?
1月1日の時点での住所地に納付する税金です。「地方自治体にかかる費用(教育、福祉、防災、ゴミ処理など)を住民に分担して払ってもらう」というものです。
住民税は、全年度の総収入によって計算され、翌年徴収されます。
徴収の方法としては、「特別徴収」と「普通徴収」があります。
特別徴収:給与をもらっている人に適用される徴収方法です。前年度の総収入額によって計算された住民税は、市区町村から就業先に通知されます。通知を受けた会社は、毎月の給与から住民税を差し引いて、従業員にかわって納税します。これを、特別徴収と言います。
普通徴収:自営業者、フリーランスなど特別徴収の対象とならない人に対して行われる徴収方法です。市区町村は、前年度の総収入額に対して計算された住民税の納税通知書を個人に送付し、受け取った人は自分で納税することを普通徴収と言います。
年間の給与総収入額によって計算される住民税は、ダブルワークをしている場合、「複数箇所から支給された前年の給与合計額」に対して計算されます。
看護師として雇用されている場合、住民税は「特別徴収」で引かれているので、ダブルワークの給与合計額に対して計算された住民税の金額が、翌年の5月に市区町村より就業先に通知されます。
この時に、他の職員の住民税よりも多い金額で通知されることで、バイトがバレる原因となります。
では、このように、住民税の通知からバイトがバレることを防ぐ為に、下記のようなことが言われていますが、本当でしょうか?
「市役所に依頼すれば、バイトの収入に対する住民税は「普通徴収」に変えることができて職場に通知はいかない?」
この情報については、「できるところもあったようだが、今後はできない確率のほうが高い」というのが答えです。市区町村の役所としては、「給与の支給を受けている人に関しての住民税の徴収は、”特別徴収”を推進する」という流れがあります。市役所のHPにも「特別徴収の推進」についての記載がある市区町村が増えているのが現状です。
なので、勤務先に副業がバレるのは困るという方は、バイトをする前にお住まいの各市町村に「普通徴収が可能か」を直接問い合わせるのが1番安心でしょう。
2.同僚に見られて、または同僚の繋がりでバレる
看護師は、横のつながりが強い業界です。同じ看護学校や以前の職場の同僚など、同業者のつながりも多く、直接的な知り合いではなくても、「知り合いの知り合い」という状況はよくあります。
また、2つの職場が近いと、地域医療の連携によって、病院同士の繋がりがあることもあります。
バイトをしていることを周囲に知られたくなければ、なるべく今までの職場から離れた場所、全く関係のない分野で働くことがおすすめです。
また、バイト先でも、自分の経歴や今の職場について多くは語らない方がいいでしょう。
まとめ
ここまで、看護師の夜勤で収入をUPしたい方へ、私が経験して疑問に思ったこと、困ったことを中心に情報をまとめてみました。
収入を増やすことで、看護師としてのさらなる夢や、看護師以外の夢を追って頑張る女性を、この記事の情報で応援できたら幸せです。