突然ですが、社会保険について気にかけたことはありますか?
私は、正社員の時、自分が加入している社会保険のことを全く気にしていませんでした。
なぜならば、社会保険料は、勤めていた病院が私に代わって給与から差し引いて払っていたからです。自分が関わることなく、行われていたことだったので、意識をしたこともありませんでした。
しかし、正社員を退職後、毎月請求される「社会保険」の負担が大きくて、徐々に気になりはじめました。
調べた結果、「負担だと思っていた退職後の保険料は、節約できたかもしれない!!」ということがわかり、とても悔しく思いました。
なので今回は、同じように看護師の正社員を退職する人に「退職前に必要な社会保険の知識」について大切なことをお話ししていきたいと思います。
Contents
看護師が働く時に必要な社会保険
日本には社会保障制度の1つとして、国民の生活を保障するために設けられた「社会保険」という公的な保険制度があり、一定条件を満たせば加入し、保険料を負担する義務があります。
代表的な社会保険には、雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金保険の4つの種類があります。
義務付けられている4つの税金について、
・ 加入条件と保障されている内容
・未納・未加入の状態で起こる事態
をそれぞれ見てみましょう。
社会保険について
①雇用保険とは
失業した時に、失業給付金を受けたり、職業訓練を受けたりできるための保険で、政府が強制している「加入すべき保険」です。
保険料は、毎月の給与総額に0.9%(毎年比率は改定され、H30年は0.9%)をかけた額となっています。この総額を、雇用主が0.6%、労働者が0.3%と分担して負担するようになります。
<加入条件>
・1週間の労働時間が20時間以上
・31日以上継続して働くこと
このどちらかを満たせば、会社は労働者を雇用保険に加入させる義務があります。
<未加入の場合>
上の条件を満たしているのに、雇用保険に未加入の場合は、加入させていない会社に対して罰則が発生します。また私達は、雇用保険加入対象者の権利であるはずの「失業保険・育児休業や介護休業給付・職業訓練」などのサービスが受けられない事態が発生します。
②労災保険とは
仕事中、通勤中の怪我や病気の保障をする保険です。加入条件は特になく、働くすべての人に法律で保障されています。
保険料は、雇用主が全額負担することになっています。
<未加入の場合>
労働者が労災保険に入っていないのは、雇用する側が義務を怠っていることになり、法律違反となります。万が一、会社が未加入の状態をとったとしても、仕事中に病気や怪我があった時には、労働者は労災の請求ができます。
③健康保険とは
仕事以外での怪我や病気を保障をする保険です。 加入することで、保険証が発行され、医療機関を受診する時に提示が必要になります。保険証を提示すれば、実際にかかった医療費の3割負担ですむようになっています。
雇われる側として、会社の健康保険に加入すると保険料は労使折半(会社と個人で半分づつ負担すること)となります。
国民皆保険制度を採用している日本で、健康保険未加入は違反です。
私達看護師が、常勤として職場で働く場合は、ほぼ会社の健康保険に入っています。健康保険未加入の状態になる可能性とすれば、会社を退職する時、雇用形態を変更して会社の健康保険に加入できない状態になった時です。
<加入条件>
・1週間の労働時間と1ヶ月の労働日数が大体、正社員の4分の3以上あること(※正社員の労働時間が1日8時間で週に5日の時は、8時間×5日=40時間、その4分の3である30時間/週がボーダーライン)
・契約期間が2ヶ月を超えること
さらに、上の条件に当てはまらない短時間労働者でも、下記の条件の全てを満たせば加入可能です。
・1週間に20時間以上働くこと
・給与が8.8万/月(年収106万)以上あること
・契約期間が1年以上見込まれること
・学生でないこと
・厚生年金保険の被保険者が500人を超える企業で働いていること
<未加入の場合>
もしも、何かの事情で未加入となっている場合、医療を受けた時の負担が全額となります。また、医療を受けなくても、次に就職した先で健康保険に加入したり、期限を過ぎて国民健康保険に加入したりした場合は未納期間をさかのぼって保険料を請求されます。
④厚生年金保険とは
企業に勤める会社員や公務員が加入する保険です。老後の年金や障害年金、遺族年金の保障をする保険です。
日本には基礎年金(国民年金)といって、20歳から60歳未満のすべての国民が必ず加入することになっている年金があり、保険料は一律¥16,260/月です。そして厚生年金は、国民年金(基礎年金)に上乗せされて払う保険料であり、金額は収入によって変わります。厚生年金を上乗せすると、当然ながら保険料は基礎年金よりも上がります。しかし、厚生年金は「労使折半」の形態をとっており、雇用主が半分を負担してくれるようになっています。
また、自分が高齢になって年金をもらう時に、厚生年金で払っていた分が上乗せされて支給されるので「国民年金加入のみの場合」よりも受給額は増えることになります。
<未納の場合>
一定条件を満たした労働者は、厚生年金加入を義務とされています。厚生年金未加入で国民年金も未払いの場合、老後の年金に影響します。また、障害を負った時の障害年金や本人死亡の時の遺族年金が支払われない状況となります。
<加入条件>
加入条件は、健康保険と同じ条件になります。
看護師が「バイトや派遣で加入条件を満たさず、会社の厚生年金加入ができない場合」は国民年金加入となります。
これらの保険料の支払いは、病院や企業で正社員または一定条件を満たして働くと、雇用主が毎月の給料から天引きして所定の機関へ支払ってくれています。
自分の社会保険料納付の状態は、給与明細をチェックしてみましょう。
以上が、看護師として正社員または、一定基準を満たす時に加入する社会保険となります。
まとめ
ここまで、必要な社会保険料について、加入条件や補償内容などを改めて見ていきました。
雇用されて、一定の条件を満たして働いていると、この支払いは全て雇用主が給与から差し引き、納税を行ってくれています。
しかし、退職または一定の条件から外れる雇用に切り替わった時、これらの支払いは各個人で行う必要が発生します。
わからないからといって、未払いや払い遅れになると、ペナルテイーも発生します。また、知識なく手続きすると、大きな損をする可能性もあります。
そうならないように、退職後または、雇用形態の変化によって加入できなくなったときのことも知っておくといいでしょう。
退職後または加入条件を満たさなくなった時についてはこちらです。