『応援ナース』という言葉を聞いたことがありますか?
これは、看護師が足りない地域に期間限定で働きに行く看護師のことです。
応援に行く地域は、日本全国に及び、北は北海道から南は沖縄まで、どこでも求人があれば行くことができます。しかも、応援ナースへの待遇は驚くほど良いものが多く、初めて知った人からは『本当にそんな働き方があるの?』という声も多く聞かれます。
私は過去に、応援ナースとして沖縄と名古屋に行った経験があります。私の経験が、今後応援ナースに行ってみたい方の参考なればと思い、以下にまとめてみました。
Contents
応援ナースとは
(沖縄応援ナース時代の写真)
応援ナースとは、主に看護師のお仕事紹介・人材派遣会社で扱っている特殊な働き方です。
簡単に言うと、上述したように、『全国の看護師が不足している病院や施設に期間限定で応援に行く看護師』のことを言います。
応援期間は、3ヶ月〜長くて1年程度となっており、応援看護師には『現地に応援に行き、すぐに働くことができるような様々な手厚いサポート』がされています。
応援ナースの働き方には、大きく分けて2つのパターンがあり、ひとつは『都市・都会に応援に行く応援ナース』。もうひとつは、『離島や田舎に応援に行くナース』です。
それぞれに、特長があるので、あなたの目的によってどちらを選ぶかを決めることが重要です。
応援ナース お仕事の流れ
派遣会社や、就業先によって多少の違いはありますが、大まかな流れは以下のようになります。
①派遣会社に登録する:応援ナースをするには、応援ナースを扱っているお仕事紹介・人材派遣エージェントに登録することから始まります。登録した時点で、自分の学歴、経歴などの情報提供を行います。応援ナースを取り扱っている会社はそれほど多くはなく、私は2017年に「ナースパワー」という派遣会社を通して、名古屋と沖縄の病院に応援ナースとして行きました。
②募集案件検索:お仕事紹介・人材派遣エージェントの扱っている求人の中から、自分の目的に合わせた派遣先を決め、エージェントに連絡します。
③求人に応募・就業先と調整:エージェントは、最初にこちらが提供した情報を基に、希望の病院に掛け合ってくれます。エージェントからの情報を審査され、合格ならば、病院からエージェントを通して面接の連絡があります(書類審査通過の段階で、採用は80%以上決定と思っても大丈夫です)。
その後、電話で就業先の担当者との簡単な面接がありますが、ほぼ入職日や引越しの日程などの打ち合わせとなります。
④準備のための引越し準備やチケット予約:応援ナースで働く場合、就業先の病院が「住む場所、最低限の家電」を準備してくれています。なので、3ヶ月程度の応援の予定ならば、身の回りの物だけで移動するという方もいるようです。
しかし、引越しなどにかかる費用は、上限はあるものの、就業先が負担してくれます。単身の引越し程度の荷物量ならば自己負担なく持っていくことができるでしょう。
また、入寮日に合わせて交通チケットを手配します。移動用の飛行機や電車のチケットは、先に自己負担で購入し、後でまとめて就業先に請求となります。
⑤応援先に移動:就業開始日の1〜2日前に現地入りします。名古屋では、交通手段が発達しているので、病院までは自分で調べて移動しました。しかし、沖縄での引越しは「移動も大変だろう」と、病院側の担当者の方が、空港までお迎えに来てくださり、車で寮まで案内してくださいました。
⑥就業開始:契約に基づいて、応援先での業務に入ります。業務内容は、普通の病棟勤務と大きく変わることはありませんでした。
⑦契約期間終了:最初にきめられた契約期間の就業を終えると、応援ナース終了となります。しかし、応援先が気に入った場合「応援看護師から、その病院の正職員になる」ということも可能です。
私は、名古屋は3ヶ月で引き上げましたが、沖縄では6ヶ月の契約終了後、その病院に就職し、結局3年を過ごすことになりました。
応援ナースの役割
応援ナースは、求人を出す側からすれば、「多少の金額を出しても確保したい人員」となります。それだけ人員不足だったり、緊急に人材が欲しい状態だと解釈できます。なので、即戦力であることは最低条件となります。
しかし、「都市や都会の応援ナース」と「離島や田舎の応援ナース」それぞれに求められる即戦力の程度には差があります。また、向き不向きもあります。
以下に、詳しく見ていきましょう。
都市・都会の応援ナースに向いているのは?
応援先が都会であればあるほど、技術的にも、求められる役割的にも高度である傾向にあります。
もしも、「看護の基礎は問題ないけど、専門スキルが充分ではない」という場合は「自ら勧んで勉強し、スキルアップする!」という覚悟は必要です。
また、都市に行く目的(”¥〇〇〇万貯める!”、”ここで取得したいものがある”etc)が明確であれば、応援期間中も充実した期間が過ごせるでしょう。
中には『もっと都会の病院で働いてみたいけど、見知らぬ土地で就職先を探すのは大変だし、引越しの金銭的負担が大きい』という方が「希望の土地で就業先を決めるための情報を得る期間として、その土地周辺の応援看護師を利用する」ことも多いようです。
田舎に比べると、都会の人間関係はドライなこともあるので、精神的に自立している方に向いています。
給与は、かなりの高額が設定されており、短期間で稼ぎたい方にはとてもオススメの働き方になります。
以上のことから、都市・都会応援ナースに向いているのは、以下のような方だと言えます。
・ある程度の看護師の経験年数を持ち、一般的な看護であれば問題なく1人で行える
・都会で働きたいけど、いきなり就職するには負担が大きい
・専門の知識が不足していても、勉強する意欲がある
・自立したマインドを持っている
・目的が明確である
・短期間で高額収入を得たい
離島・田舎の応援ナースに向いているのは?
離島・田舎応援ナースでも、求められることは即戦力であることには変わりありません。
しかし、離島や田舎の応援ナースは、都市圏と違って「高度なスキル」や「パソコンのスキル」はそれほど重要ではありません。
看護師の経験年数が浅くても、看護業務に大きな支障が出ることは少ないでしょう。逆に、看護師としてスキルアップを望んでいる方には、ゆったりとした考え方やペースがストレスになることもあります。
田舎の職場や、離島の職場などであればあるほど、コミュニケーションを大切にするので、人との繋がりをつくることが好きな方には向いています。
給与は、応援ナースとしての手当が加算され、正社員の月給よりは多めです。しかし、都市圏ほどの高給は期待できません。
離島・過疎地応援ナースは、「稼ぐことが目的」なのではなく、「離島や遠方に旅行に行くついでに仕事もする」という感覚になります。
なので「ウィンタースポーツが趣味だから、北海道に行く」、「ダイビングが好きだから、沖縄に行く」という目的の方が多いです。
このように、離島・田舎の応援ナースは「プライベートを充実させることを目的とする方」に向いているでしょう。
以上のことから、離島・田舎応援ナースに向いているのは以下のような方だと言えます。
・看護師の経験年数は少ないけど、応援ナースをしてみたい
・時間もお金も気にせず、好きな場所に長期滞在したい
・プライベートを充実させたい
・都会で働くことに疲れてゆったりと働きたい
応援ナースの収入と支度金
では、実際に都市応援ナースと離島・田舎応援ナースの収入はどのくらいでしょうか?
ネット上では都市・都会応援ナースの場合、月収は40万、50万などという噂もあります。本当にそれだけの月収が手に入るのか心配な方もおられると思いますが、この噂は事実です。
これは、私の都市圏応援ナースの時の給与通帳です。これは約15年前の給与で、現在はさらに高額支給の傾向にあります。

H30年12月時点での求人票より抜粋
このように、応援ナースの最短期間である3ヶ月の契約だとしても、期間内で約100万円程度は稼ぐことができるのが都市圏応援ナースの最大のメリットとなります。
しかし、一時的に収入が増えると、その年の年収が上がり、翌年の住民税などが高くなります。都市圏応援ナースに行くときは、そのことも頭に入れておきましょう。
ちなみに、沖縄応援ナースの時の月収は以下の写真です。
沖縄応援ナースの時は、毎月の給与に「応援手当¥30,000円」が加算されて写真の額でした(H17年当時)。こちらも現在はさらに高額の給与支給の傾向にあります。

H30年12月時点での求人票より抜粋
どちらも応援期間中の社会保険(医療保険、年金など)は、派遣元の会社または就業先で加入する事が出来ました。
住む家や、必要最低限の家電(TV・洗濯機・冷蔵庫など)は準備されており、応援ナースの間の家賃も、寮だったので格安でした。
さらに、先に述べたように「引越しや移動にかかった費用」は、上限が決まっていましたが、就業先から負担されたので、ほぼ無料でした。
このように、応援ナースには、どこででもすぐに仕事に入れるような設備が整っているため、働く側の精神的・金銭的な負担は最小限に抑えられていると言えます。
応援ナースのオススメエージェント
「応援ナース」という働き方を選ぶには、まず「応援ナースを取り扱っている看護師の人材派遣エージェント」に登録する必要があります。
そこで、私がお勧めする応援ナースのエージェントをご紹介します。
ナースパワー
〜30年の歴史&2,000名以上の応援ナース赴任の実績〜
ナースパワーは、私が実際に応援ナースで利用した会社です。
業界30年の実績をうたっているように、老舗の看護師紹介・派遣エージェントになります。
一般的な求人も取り扱っていますが、特に応援ナースに力を入れているのがこの会社です。全国14カ所に拠点があり、広く日本各地の求人を取り扱っています。
沖縄にも拠点を持っている会社なので、離島・沖縄の応援ナースの情報は1番多く、サポートも充実しています。
応援期間は、3ヶ月の超短期から取り扱いがあります。
実際に応援ナースとして働いてからの応援期間延長に対しても、1ヶ月から対応してくださり、自由に働くことが可能です。
医療ワーカー
〜4年連続支持率No,1! 転職成功実績3万件以上〜
医療ワーカーは、株式会社TS工建が運営する求人サイトです。
2006年から紹介事業を行なっており、看護師の利用満足度97%、2015〜2018年には4年連続、楽天リサーチNo,1の支持率を獲得しています。
また、2016年には厚生労働省による「職業紹介優良事業者」の認定を獲得し、国から優れた職業紹介をしていると認められた数少ないエージェントです。

医療ワーカー求人サイトより
看護師の人材紹介エージェントがどんどん増える中、悪質な業者の噂も多くなっていましたが、そんな中でも、国の調査機関に自ら依頼して、看護師が安心して利用できるように配慮を行なっている意識の高い会社だと言えます。
パソナメディカル
〜創業31周年の業績と安心 看護師・保健師・医療関係業務の求人サイト〜
パソナは、医療業界だけでなく、幅広く人材派遣を取り扱う、人材派遣業界では有名な会社です。
パソナメディカルが中心としている事業は、派遣・紹介派遣事業です。日勤を始め、夜勤専従や短期の仕事などを取り扱っており、拠点は全国に広がっています。
そして、応援ナースと同じような働き方である「トラベルナース」(=応援ナース)も扱っています。
ナースパワーとの大きな違いは、パソナのトラベルナースでは、パソナメディカルの派遣社員として、手厚い福利厚生を受けながら、働くことができるということです。
応援期間については、3ヶ月の超短期から可能ではありますが、実際に働き始めてからの応援期間延長は、3ヶ月単位での更新となっています。
まとめ
ここまで述べてきたように、様々な目的によって使い分けができる「応援ナースという働き方」は、一般的ではありませんが、明確な目的を持った方には理想的な働き方でもあります。
あなたの人生の目標を叶える働き方のひとつとして、応援ナースを活用してみてはいかがでしょうか?
その他の応援ナース体験談は以下より。